蛇口の先端や根本から、ある日突然ポタポタと水が漏れてくるといったケースは少なくありません。
水漏れが発生すると、蛇口そのものが壊れてしまった?!
と思ってしまうかもしれませんが、その水漏れはパッキンの劣化が原因かもしれません。

蛇口のパッキンってなに?どこにある?
”パッキン”って、なんとなく聞いた事はあるけど、蛇口のパッキンってどれの事?
と思っている方も、少なくないかもしれませんね。
”パッキン”はリング状のゴム部品の事で、水道設備の接続部のほとんどに取り付けられています。
蛇口などに使用されているパッキンはゴム製で、長年の使用で劣化が進むと柔軟性がなくなり硬化。
固くなったゴムは脆くなり、ヒビ、割れ、欠けなどが発生。
それだけではなく柔軟性がなくなったパッキンは、接続部などの隙間をぴったりと防げなくなり水漏れの原因となってしまう事もあります。

パッキンのサイズを確認する方法
劣化したパッキンを交換するためには、まずパッキンの種類や大きさを把握する必要があります。
一般家庭の水栓に使用されているパッキンは、呼び径13㎜の物がほとんどですが、呼び径20㎜の物が取り付けられている事も。
使用している蛇口に取り付けられているパッキンの種類を知るためには、蛇口のメーカーや型番をチェックすればOK。
メーカーや型番が記載されいてる場所
メーカーや蛇口の種類によって、型番が記載されている場所は若干異なります。
単水栓
単水栓は蛇口の台座部分や蛇口裏側部分に、メーカー名が刻印されていたり型番のシールが貼ってある事がほとんど。

単水栓
単水栓は型番のシールが貼られていない物も少なくないため、型番が分からない場合はメーカー名で単水栓用のパッキンを検索すれば適合する物を見つけられるかと思います。
単水栓には、三角パッキン、コマパッキン、Uパッキンというパッキンなどが取り付けられています。
ツーハンドル混合栓
ツーハンドル混合栓は、ハンドル下部や根本部分にシールが貼られていたり、蛇口本体にメーカー名が刻印されている事がほとんど。

ツーハンドル混合栓
型番が分かったら、メーカーホームページなどで適合するパッキンを確認する事が可能です。
ツーハンドル混合栓には単水栓同様、三角パッキン、コマパッキン、Uパッキンというパッキンなどが取り付けられています。
シングルレバー混合栓
シングルレバー混合栓は、ハンドル上部、側面、蛇口先端などにメーカー名が刻印されている事がほとんど。

シングルレバー混合栓
シングルレバー混合栓の多くは、蛇口根本や裏側などに品番が記載されたシールが貼り付けてありますので、型番で検索をして適合するパッキンをご確認ください。
シングルレバー混合栓には、Oリング、Uパッキン、などのパッキンが取り付けられています。

パッキンの種類
水道設備には様々なパッキンが使用されていますが、DIYで交換が可能でホームセンターなどでも入手しやすいパッキンをご紹介します。
三角パッキン
画像引用元:Amazon
三角パッキンは単水栓やツーハンドル混合栓に多く使用されているパッキンで、横から見ると台形になっているのが特徴。
三角パッキンはハンドル下部に取り付けられていて、接続部からの水漏れを防ぎ、ハンドルと蛇口本体を繋ぐためのアダプターの役割もしています。
単水栓やツーハンドル混合栓のハンドル下部から水が漏れる症状が現れた場合は、三角パッキンの劣化が考えられます、
Oリング
画像引用元:Amazon
Oリングは、シングルレバー水栓やシャワーなどに多く使用されているパッキンで、角が無く断面が丸いのが特徴。
水が漏れてこないよう、接続部を密着させる役割をしています。
Uパッキン
画像引用元:Amazon
Uパッキンは蛇口パイプの根本に取り付けられていて、断面がUの形をしているのが特徴。
蛇口のスパウト部分をスムーズに動かす役割をしています。
キッチンなどの蛇口をシンクの右側に動かしたり、左側に動かしたりする事ができるのはUパッキンが取り付けられているから。
”自在パイプ取り付けパッキン”とも言われています。
蛇口のパイプ(スパウト)根本部分から水漏れしている場合、Uパッキンの劣化や破損が考えられます。
コマパッキン
画像引用元:Amazon
コマパッキンは単水栓やツーハンドル混合栓に多く取り付けられていて、名前の通りコマのような形をしているのが特徴。
ハンドルと連動し上下に動き通水路を開いたり閉じたりする役割をしていて、”ケレップ”とも言われています。
水漏れ以外に、水を出す際「キーン」という音が発生するようになったら、コマパッキンの劣化が考えられます。
パッキンは劣化する部品のため簡単に交換が行えるようになっている物も多く、ホームセンターなどでも購入可能で比較的手に入れやすいパーツになります。

自分で蛇口パッキンを交換する際の準備
蛇口の種類に関わらず蛇口のパッキン交換を自分で行う場合は、下記の準備をした状態で行うとスムーズに作業が進むかと思います。
パッキン交換時にあると便利な工具
- ドライバー
- モンキーレンチ
- ピンセット
どの工具も、ホームセンターや100円ショップなどで販売しています。
準備1:止水栓を閉める
まず、パッキン交換作業中に水が出てくるのを防ぐため、止水栓を閉めておきます。
止水栓は、給水管の途中や水栓下部などに取り付けられている事がほとんど。
止水栓が見当たらないといった場合や、場所が分からないといった場合は水道の元栓を閉めておけばOK。
水道の元栓は、水道メーターボックス内に設置されていて、時計回りに回すと家屋内の水を全て止める事ができます。
準備2:排水口を塞いでおく
パッキン交換を行う際、ネジなどを落としてしまうような事もあるかと思います。
そのような際に、排水口に落ちて流れていってしまう恐れも。
ヘアキャッチャーなどが取り付けられていない洗面台をご使用の場合は、特に注意が必要です。
作業を行う前に排水口部分にはフタをしておくか、フタが無い場合は新聞紙や養生テープなどを使用し排水口を塞いでおくようにしておくと安心です。

単水栓・ツーハンドル混合栓のパッキン交換の手順
単水栓・ツーハンドル混合栓のパッキン交換は、ほぼ同じ作業で行っていきます。
手順は、下記の通り↓
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単水栓・ツーハンドル混合栓パッキン交換の手順
- ハンドルを外す
- 上部ナットを外しスピンドルを外す
- パッキン交換
- 各部品を戻す
- 止水栓を開き水漏れの有無を確認し完了
1:ハンドルを外す
単水栓はハンドル上部に取り付けられているカラービスを外し、ハンドルを取り外します。
ツーハンドル混合栓は、ハンドル上部にカラーキャップがある場合は、マイナスドライバーや千枚通しなどでカラーキャップを外し、ネジを緩めてハンドルを外します。
2:上部ナットを外しスピンドルを外す
工具を使用し上部ナットを緩め、スピンドルを回して取り外します。
3:パッキン交換
スピンドルを外したら、劣化が進んだコマパッキン、三角パッキンを除去。
新しいパッキン類を取り付けます。
4:各部品を戻す
パッキン交換が完了したら、スピンドル、上部ナット、ハンドルを外した時と逆の手順で取り付け戻してください。
5:止水栓を開き水漏れの有無を確認し完了
パッキン交換が完了したら、止水栓を開き通水テストを行い水漏れが治まったか確認をして作業は完了です。
こちらの動画では、ツーハンドル混合栓パッキン交換の手順が紹介されています。

シングルレバー混合栓のパッキン交換の手順
シングルレバー混合栓のパッキン交換は、下記の手順で行っていきます。
シングルレバー混合栓パッキン交換の手順
- ハンドルを固定しているネジを外す
- レバー部分を引き抜く
- 各部品を取り外す
- パッキン交換
- 各部品を取り付ける
- 止水栓を開き水漏れの有無を確認し完了
1:ハンドルを固定しているネジを外す
まずは、ハンドルを固定しているネジを外していきます。
ハンドルを固定しているネジには、化粧キャップが付いている場合が多いので、ドライバーや千枚通しなどでキャップを外してからネジを緩めてください。
シングルレバー混合栓のネジは、プラスドライバー式や六角レンチ式などがありますので、ネジの形状を確認し適応する工具で外すようにしましょう。
2:レバー部分を引き抜く
ハンドルレバーを固定していたネジを外すと、上に持ち上げるだけで簡単にレバーを取り外す事ができます。
中にはネジではなく爪で固定しているタイプのシングルレバー混合栓もあり、その場合はハンドルを上に引き上げるだけでハンドルを外す事ができます。
ハンドル付近のどこにもネジが見当たらない場合は、引っ張って外すタイプの水栓の可能性が濃厚です。
3:各部品を取り外す
モンキーレンチなどの工具を使用し、カートリッジ押さえ、カートリッジ本体、蛇口胴体部分を取り外します。
4:パッキン交換
ピンセットや爪楊枝などを使用し、劣化したパッキンを除去。
パッキン設置個所にゴミやミネラル成分などが付着している場合は綺麗に除去し、方向を確認してから新しいパッキンを取り付けます。
古くなったゴムパッキンは炭化していて素手で触れると手が黒くなってしまう事もありますので、気になる場合はゴム手袋を装着してから行ってください。
また、グリスが塗布されていないパッキンを使用する場合は、蛇口用のグリスをパッキンに塗布しておくと耐久性が良くなります。
5:各部品を取り付ける
外した時と逆の手順で、蛇口胴体(スパウト)、カートリッジ本体、カートリッジ押さえ、ハンドルレバーを取り付けていきます。
6:止水栓を開き水漏れの有無を確認
閉めておいた止水栓を開き、通水テストを行ってみてください。
水漏れが解消していれば、これでパッキン交換作業は完了です。
こちらの動画では、シングルレバー水栓パッキン交換の手順が紹介されています。

自分でパッキンを交換する際の注意点
蛇口に使用されているパッキン類は消耗品のため、メンテナンス性を良くするため蛇口のハンドル類は外しやすい設計になっています。
しかし、使用年数が長くなった水栓は、錆、ミネラル成分などが固着し、ネジ1つを外すだけでも難儀するケースが少なくありません。
使用年数が長い水栓は、脆くなっている場合も。
そのため、ハンドルを取る際など固いからといって、力任せに回したり引っ張ったりする行為はNG。
パッキンを自分で交換し蛇口からの水漏れを修理しようとしたはずなのに、逆に蛇口を破損させてしまうといったケースもありますので、強引にパーツ類などを外さないようご注意ください。
また、戸建てなどの持ち家にお住まいの場合は、自己責任でパッキンの交換を行う事は問題ありませんが、賃貸住宅にお住まいの方はご自身で交換作業を行う前に、管理会社や大家さんに相談するようにしましょう。

まとめ
水道蛇口のパッキンは、比較的簡単に自分で交換する事が可能です。
しかし、蛇口によっては専用の工具が必要な場合があったり、使用年数の長い蛇口だと各部品が固着していて取り外す事が困難なケースも。
また、破損個所を特定するのが難しい場合もあるかと思います。
原因の特定や、蛇口の分解を自分で行うのが難しいという場合は、お早めに専門業者にご相談くださいね。